2017年9月19日の朝日新聞に、大阪府堺市に建つ、築44年の大阪府営住宅「赤坂台3丁」が、堺市により「日影規制に違反する」と判断され、建物が取り壊される可能性があるとのニュースが掲載されました。
Twitterなどでは「築44年で、いまさら日影規制に違反しているなど、ありえないだろ、また税金の無駄使いか!」と炎上気味で、現在物議を醸しています。大阪府営住宅の日影規制の違反問題についてご紹介させて頂きます。
日影規制違反とは?府営住宅を取り壊しの方向に
日影規制に違反するとの理由により、取り壊しが検討されている建物は、堺市南区赤坂台3丁に、1973年に完成した、5階建ての大阪府営住宅「赤坂台3丁」です。
建物はその後1998年に、大阪府により増築工事が行われ、今回再び、大阪府によりエレベーターの設置工事が行われる予定でしたが、大阪府が堺市に対して、この工事が建築基準に適合するか否かを確認したところ、工事が行われずとも、建物は現在の時点で、日影規制に違反していることが判明しました。
これにより堺市は、大阪府の費用負担で、建物の取り壊しを求めていますが、これに対して大阪府は「98年に行われた増築工事により、建物が日影規制に違反した可能性がある。増築工事を行う際にも、堺市に建築基準に違反しないかを問い合わせたはずだが、20年前のため、詳しい資料が残っていない」とコメントしています。
問題となっている大阪府営住宅は、全30戸のうち、現在10世帯が入居中ですが、取り壊される場合は、大阪府が移転費用を保証するとのことです。
また、問題となっている大阪府営住宅が及ぼす日影は、近隣のマンションや家ではなく、同府営住宅を含む、大阪府営住宅が並ぶ団地内にある「緑道」のため、大阪府は「この状況では、日影規制に違反しないはず」と訴えましたが、堺市はこれに対して「緑道に集まる、同じ団地内の住民に影響がある」と答え、議論の余地はないとの見解を示しています。
日影規制違反とは?大阪だけ?
日影規制とは、近隣住民の日照権(日当たりに対する権利)を保証するために、建築基準法により定められたもので、具体的な規制内容は、地方により異なるものの、日本全国で適用されます。
日影規制に違反するとして問題になっている、大阪府営住宅が建つ堺市南区赤坂台3丁は、第一種中高層住居専用地域に指定され、堺市では、該当する地域に建つ「高さが10メートルを超える建築物」は、「敷地の境界線から、10mを超える範囲の日影は、冬至日で2.5時間まで(http://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/jutaku/kenchiku/shidou/kenchiku/yoshiki/kisei/hikageseigen.html)」と定めているため、該当する大阪府営住宅は、この日影規制に違反するとされています。
尚、日影規制により、建物が取り壊されることは稀で、日影規制が定められる前に建てられた建物が、老朽化などにより建て替えられる場合、日影規制により、以前より階数が低くなったり、これから建てられる建築物が、日影規制により、高さが制限されることが一般的です。
対象区域内の土地に日影を生じさせるものについては、当該対象区域内にある建築物とみなして、日影規制が適用される(同条4項)。 pic.twitter.com/t4NBYPa7o9
— 宅建 (@balance_12) September 10, 2017
反応まとめ
大阪府営住宅の日影規制の違反問題について、ネットでは議論が交わされていますが、印象的なコメントをご紹介させて頂きます。
皆さん、大阪府営住宅の日影規制の違反についてお怒りですが、該当する建物の近くに住むという方による「緑道に人が集まることなどない」とのコメントが印象的です。このコメントが、この問題の全てを語っているのかもしれません。
出典
https://goo.gl/1Kizbz
https://goo.gl/6eHvp4
建物は血税で解体されるのか?進捗を見守る必要がある
日影規制に違反するとされる、大阪府営住宅についてご紹介させて頂きました。
納得が行かないニュースですが、日影規制を定める、建築基準法の第五十六条の二によれば、「土地の状況等により、建物が及ぼす日影が、周囲の居住環境を害する虞がないと判断されれば、日影規制は適用されない」と表記されているため、大阪府が堺市に対して訴訟を起こせば、この問題は新たな局面を迎える可能性があります。
また、現在大阪府は、維新の会の代表を務める松井一郎氏が府知事を努めていますが、来る9月24日に堺市では、市長選挙が行われます。
この選挙には、現職で無所属の竹山修身氏と、大阪維新の会に所属する永藤英機氏が立候補していますが、永藤英機氏が当選し、維新の会の代表を努める松井一郎氏と足並みが揃う形になれば、この問題は新たな局面を迎えるかもしれません。
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