近年、非常に個性的な間取りの住宅物件や、新築マンション、またリフォームプランなどの商品が増えています。
たとえばマンション丸ごとをワンフロアの大きな部屋にする商品や、大きくとった室内を間仕切りを兼ねた可動式家具などで細分化するものなど。さまざまな技術の進化もあり、これまでの日本建築や、あるいは建売物件や新築マンション物件ではではほぼ見られなかったような画期的な間取りや構造のものが非常に多くみられるようになりました。
そんななか2017年の住宅トレンドとして新たに「リビ充家族」という言葉が登場。
いったいどういったものなのでしょうか?
その詳細をまとめてみました。
目次
リビング充実家族とは?どんな間取り?
「リビ充家族」は「リビ充実家族」ともよばれますが「リビング充実家族」の略語。
「リビ充家族」 2017年のトレンド予測を発表https://t.co/1D1Kl62gc2 リビングを最大に広げて多用途に使い、空間は共有しながらも各々が充実した時間を過ごす「リビ充家族」が増えてきている。間取りにおいては「リビングMAX化、個室min化」が進んでいる。
— 7 (@digitalian1127) December 13, 2016
住居の種類や家族構成は問いませんが、住居の中でもリビング部分の間取りを最大に広げて、キッチンや応接、客間、子供部屋、家事コーナーから、ひとによってはベランダなどまでを広く一つの空間として設計した間取りのこと。それを普段は用途に応じて幅広く利用し、家族がそれぞれ空間は共有しながらも、その大きな室内で各々が充実した時間を過ごすスタイルを「リビング充実家族」と呼んでいます。
今流行りの【リビ充】をご存知ですか?
リビ充=リビング充実の略です。
最近はリビングを最大に広げて多用途に使い、同じ空間の中でそれぞれの時間を過ごす家族が増えてきているそうです。
リビ充ライフをお考えの方は、是非リプロハウスまでご相談を♪ pic.twitter.com/K1RHX6dOFT— リプロハウス (@reprohouse_jp) April 20, 2017
こちらのツイートでも見られるように、たとえばマンション物件であれば、風呂場や洗面、トイレや玄関といったスペースを除いて、ほとんどの部分を丸ごとリビングと多用途型フロアとして設定。
広さとしては20畳以上もの部分を、リビングの家族共用スペースとして割り当てる大胆な間取りを「リビング充実家族」と呼ぶことが多いようです。
一般的なリビングダイニング間取りでは、11畳程度であるところが、リビング充実家族スタイルのメリットを本当に生かせる間取りにするためには25.4畳以上もの面積を確保することが必要だといわれています。一般的なリビングダイニングの約倍以上。
非常に広い空間ということもあり、地方など土地面積に余裕のある地域の物件でなければ難しいのではないかと思う方が圧倒的なようですが、既存物件でも構造をおおきく変化させ、水回りなどを階上にとったり、また、メゾネットのような立体構造をとることで、この面積を確保する間取りケースなどもあります。
リビングを設計時に、構造上とれるだけ、最大限にできるだけ大きくと設定することが多い間取りである点が、これまでの広々リビングの間取りとは異なっています。また、リビングを広くとることを優先させるばかりではなく、家族が自発的にリビングに自然に集合する動線を意識した各部屋の役割付のため、子供部屋や家事コーナー、お父さんの城でもある書斎といった個人居室の面積そのものは非常に小さく設計され、個室に対する役割づけも睡眠や着替え、個別の収納などに限定し、小さ目に役割設計されることが多い間取り構造です。
互いが顔を合わせる機会が増えることで、日ごろの変化やトレンドなどにもそれぞれが敏感になり、また、互いを思いやる気持ちや、それぞれを認め合う家族関係内での土壌が出来やすいという点でも、単に間取りの問題だけではなく、家族を中心とした社会にも活かすことのできる「リビング充実家族」のもたらす人間的成長や充実が、2016年末から非常に各メディアでも取り上げられてきています。
リビ充実家族間取りの工夫
非常に大型のリビングということもあり、たとえば来客時にはあまり見せたくない場所を、可動式家具などで隠すタイプの使い方や、あるいは、逆にひごろから美しくキッチン回りなどもふくめてデコレーション型のインテリアとするなど、そのご家庭によっても使い方が様々。
いくつかの例をご紹介しましょう。
▶可動式間取りタイプのリビ充家族
現在実証実験中の住居がこちら。
リビ充家族のなかでも、とくにコストは割高ながら、居住者の満足度も高い、可動式間取りによる広々リビングを実現した住居です。
つかってみなければわからないポイントが非常に多く盛り込まれており、今まさに、リビ充家族タイプのリフォームや購入を考えている方に、非常に役立つレポートです。
[生活] リビ充家族[3] その日の気分で間取りが変えられる「間取りの無い家」実証実験中!(SUUMOジャーナル)https://t.co/GdSWFR1lCh
— ニュース24時間 (@NEWS_24Hour) May 26, 2017
▶キッチン回りのカウンター
https://www.instagram.com/p/BQedS7CFMRk/?tagged=%E3%83%AA%E3%83%93%E5%85%85%E5%AE%B6%E6%97%8F
リビング充実家族型の間取りでも、これまでの大き目のリビングダイニングキッチン物件と同じように、アイランド型キッチンを採用される方は多いようです。
また、リビング充実家族型間取りでは、このリビング部分に、直接、廊下などを介さずに寝室コーナーなどを接続する関係で、油ものなどをつかった料理も多いご家庭では、キッチン部分を分けて、半個室のように、間仕切りで仕切れる構造にしていたり、室内に窓を付けたコーナーなどで、仕切っているところも多いようです。
こうしたケースでは、配膳時に、スムーズにリビングにむけて作業ができるよう、リビング側にもカウンターを設けるのがおススメ。
下のインスタグラムでは、このカウンターを、普段はキッチンの延長に、またおやつタイムや、両親世代のバータイムのカウンターとして利用しています。
https://www.instagram.com/p/BPElfqIAWBO/?tagged=%E3%83%AA%E3%83%93%E5%85%85%E5%AE%B6%E6%97%8F
▶小和室
https://www.instagram.com/p/BQRaBUXjNsS/?tagged=%E3%83%AA%E3%83%93%E5%85%85%E5%AE%B6%E6%97%8F
やはり日本の住居では、さまざまに使える和室の存在はありがたいもの。
洋風の暮らしが増え、めったに使わないスタイルの生活でも、お正月、お盆、そして来客時などには和室が欠かせないという人も多いようです。
こちらは、段差を設けて一部を和室コーナーにし、腰かけたりといった利用もしやすい高さに設定。
寝室としての利用もでき、また、普段はソファーのようにも利用できる非常に柔軟な間取りデザインです。
▶1畳小屋
PCスペースに1畳小屋も売っているメーカーがあるようですね!
また、実際に住宅を増改築、あるいは建ててみてから「やはり個人で使える独立したスペースがほしい」というかたも多いようです。こういったケースでは、DIYセンターなどでも広くキットが販売されている、一畳小屋などを利用して、広めのベランダや庭などに設置するのを検討しても良いでしょう。
リビ充実家族の実際
これほどまでに非常に注目されているリビング充実家族型間取り。
実際に、取り入れた方による感じ方はどう変化しているのでしょうか?
http://mbp-shinshu.com/sumaikobo/column/4109/
リクルートカンパニーのアンケートによると家族でリビングにいる時間は心地良いと答えた家族は・・・・・・・80。2%
子供と親との関係性が昔より気楽になったと感じる・・・・・・・・・65.2%
家族がリビングでバラバラな事をしていても何となく安心する・・・58.9%
家族がゆるく、動線や生活空間で繋がるようになった家族関係は、通常の家族よりも非常に心地よく、居心地がよくなっていると言えるのではないでしょうか。
リビ充実家族の実例
これまでであればデスクトップ型パソコンは個別に所有していて、といったご家庭も多かったところ、このリビング充実家族では、個別に持つノートなどをハイスペック化して、それ以外には、リビングに置いているパソコンを家族共用型パソコンとして利用しているといった運用も多いようです。
また、リビングにテレビや勉強スペースやパソコンスペースをあらかじめ設置したリビング充実家族物件も見られます。
http://www.kagu-hokuren.com/blog/wp-content/uploads/2017/06/090_image.jpg
このケースでは、リビングに子供たちの勉強道具の収納スペースや書棚なども独立させずに設置しており、LANや電源、机などの設備も家族が共有。
互いの顔を見ながら利用することができるため、子供にとって健全な利用のための見守り機能も働きます。
リビ充家族[4] 入居前リフォームとDIYで実現した、家族みんなが思い思いに過ごせる空間(SUUMOジャーナル) https://t.co/fkuh0rum1Y
— よしの (@Barbara11249108) August 5, 2017
リビング充実家族を生かした間取りは、なにもプロに任せるだけではありません。必要最低部分、構造などを弄るところだけをプロに依頼し、あとはDIYによるケースがこちら。
柔軟に、その家族に合わせた個と家族の接続がアレンジできる点が魅力です。
窮屈な間取を「明るく広がりを感じられる空間」へリノベーション
>> https://t.co/3ICH0oj05Y#家 #リビ充 #ナチュラル志向 #インテリア #自然素材 #キッチン pic.twitter.com/taZd1e5DzC— 横田建築研究所 (@sumairulabo) June 7, 2017
収納部分を多く室内に確保し、デスクなどを設け、またそこをリビングダイニングとすることで、そのモノを使う作業時だけ、ゆるく接続するリビ充もあります。
十分な広さが確保できない、まだ完全なオープン共用型リビ充には。。というケースではこうしたあたりから取り組むのもよいでしょう。
リビ充実家族メリット
リビング充実家族型の間取りメリットとして、両親がいつも子供の勉強や遊びの習慣づけを、自然に視野に入れることで、把握しやすくなるといった点を1番に挙げる方が多いようです。
近年、若年から中高年、そして高齢者ひきこもりなど、世代を問わないひきこもりなどが社会問題化しています。また、近年は、子供の受験や学習などでも「親子一体となって毎日の家庭学習に取り組んだり、受験に向けた話題などを積極的に家族で会話する」といった取り組みを行うご家庭も増え、進学先の学校でも。家族関係を重視する近年の風潮からこうした姿勢が推奨されています。
子供たちの室内遊びなどにおいても、これまでであればテレビを見る、ゲームをする、携帯電話やSNSで会話を楽しむといったシーンでも、室内に固定されたテレビなどを用いることがなく、モバイル型の機材が充実。そのため、場所を選ばずどこでも個室と同じような楽しみ方ができるといった背景もあり、食事などの家族がそろって顔をこれまでもあわせていた定番のシーン以外の、学習、遊びといった部分でも、リビングの共用スペースのなかにいながら個としてなにかに没入しやすいのです。
広いスペースに家族全員が集うことででコミュニケーションが増えながら、その中で、個としてなにかを行う時間と、他者と関わる時間を切り替えるスタイルで、人としての器用さなども養うことが期待できます。
真夏の光熱費の面では、クーラー代の電力消費量は馬鹿になりません。どれだけ抑えていても、個室との仕切りや入口をこえて空調を効かせるためには、扇風機やその他さまざまな電化製品を併用している方も。
リビング充実家族間取りの場合には、クーラーなどはリビングに中心的に配置。そして、寝室などを個室として設けるときには、その空間に廊下を介さず直接接続するスタイルが多いため、個室側からもドアを一枚あけるだけで、リビングの室温をそのまま利用できるメリットがあります。個室に居ても、この冷暖房空調の利用のために、リビングと接続できることで、家族間の動線や生活空間も重なりを見せるのです。
また、間仕切りタイプのリビング充実家族間取りを選択したケースでは、可動式の個室や可動式間仕切りなどによって、間取りを気分で変えることができます。たとえば天気のいい夜には、星空をまどから眺めながら就寝するため、寝室を窓辺に移動。逆に非常に温度の上がっている日には、窓辺から遠い位置に個室を設定することで、窓からの照り返しを防いだり、あるいは、個室ユニットを窓辺に設置して、昼間過ごすエリアを室内奥に設定することで、涼しさを演出することもできます。
リビ充実家族のデメリット
リビング充実として、完全に個人室~子供部屋やお父さんの書斎などをなくす設計もありますが、実際に使い始めてみると、子供同士のけんかやもののやり取りなどで、やはり小さくても個室自体は存在していた方が良いとあとから気づくケースも多いようです。
また、思春期など、とくに狭い空間で集中して勉強に、休息にと考えている追い込み期の子供たちにとっては、完全に個が保たれて、いつの自分が専用に使える空間が小さくても存在していることが安心感につながります。こうした部分は、事前に、自分の子供の年齢なども考え、また、、子供の成長に伴う増改築で個室を作るあるいは、初めからスペースとして確保しておくなどもふくめて、しっかりと考えておくべきでしょう。
加えて「どうせいつかは子供は家を出ていくから、その時に俺が子供部屋をもらう」などとして、初めから父親の個室、書斎などが存在しない間取りとする方も多いようです。ですが、思いのほか子供の独立が遅れてしまい、その間お父さんの立場が、間取り以上に無くなってしまうことも。とくに小さなお子さんが居る世帯では、就寝時も川の字である方も多く、非常に世帯に一体感、スペースの共有によるハードルを感じないようです。そのため子供の反抗期や自立時期などをあまり考えずに個室設定されることが多くありますが、こうしたときにお父さんと子供、それぞれが小さくてもいいので個でいられるスペースは設けることも大切です。
まとめ
いかがでしたか?
さまざまな例を見てきましたが、いずれも本当に間取りの広さが、これまでにない解放感をもたらしてくれます。
とくに急に成長期を迎える中高生から大学時代のこどもたちにとっては、これまでの住居内の空間が急激に狭く感じ始める変化からも、目に見えないストレスを感じがちなもの。
お父さんにとってもまた、急に大きくなった子供たちによる圧迫感を、これまでの狭い間取りでは感じがちです。
ですが、これだけ大きなリビングの多用途空間を持つリビング充実家族発想に基づいた間取り設計なら、どんな世代、どんな家族だって、いつも広々とした空間による解放感を享受でき、自宅の居心地の良さにもつながっていきそうです。
2017年の新しいトレンドといいますが、すでに各所で大好評という理由がわかる気がします。
また、リフォームとしてリビ充実家族を目指す人も増えているということです。リフォームの際はホームインスペクションも一緒にすると補助金が出ますので是非ご検討ください。
■関連記事
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。